おしごとデザイン研究所

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引継ぎと業務フロー

ちょっと話がまた脱線するのですが、実はとあることで非常に強く「業務フロー欲しいかも」と思ったケースに出会いました。

何故そう思ったのかというと、前任の方から引き継ぐ仕事だからなのです。まぁ要するに町内会の役員(実際には違うのですけど、ニュアンス的には似てます)みたいなもので、任期が決まっていて順繰りに回ってくるというものです。

そうすると、実際にはパス回しなんだとかウンタラカンタラと言っていても、取り敢えず何をすればいいのかというお手本、ガイドラインが欲しくなります。皆目見当がつかないからなのですね。ですがそれが一目でわかるものがないので、まずは知ってる人に聞いたりしながら何とかその場をしのいでいくことになります。

一方で、そうやって聞いたやり方が現状にフィットしてるかというと、これまた面白いことに昔のやり方を代々受け継いできてるものですから、現状からすると結構無理があることも多いのです。無理を何とかしようとして、結果としてものすごく複雑で煩雑(雑が多いですねw)なやり方になってしまってるのです。

このあたり、上手くやれればスッキリするだろうなぁ、と感じたりもします。ただ、いわゆる企業内の業務フローを書くというようなアプローチだとやはり通じない面もあるので、この機会にマジカ!を見直して適用する機会にしてもいいのかもしれないなぁ、と考えていたりします。

引継ぎ資料としての業務フローというのは、割とニーズが高そうな気がします。

影の司令塔

業務フローは実はパス回しだという話を書きましたが、ちょっと面白い記事を見つけました。

 名大、サッカーに「ベキ乗則」法則を発見:日刊工業新聞
 http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0720120117eaam.html

この記事によると、「パスを多く出す司令塔と位置づけられる選手が存在する一方、ほとんどボールに触れない選手が多数いて、ベキ乗則が成立する」らしいのですが、実はこれ、一般企業の業務フローにおいても、あくまでも私の個人的な感覚によるものなのですが、似たような傾向が見て取れます。ではその司令塔とは誰かというと、意外といわゆる「事務の女性」だったりするのです。

役職的には、偉い人とはされていない人が実は実際の現場のキーマンで、例えば売上トップのエース営業マンがいたとしても、その人が売上を上げるプロセス全体の鍵を握っているのは、実はその営業マンではなく、営業事務のパートの女性だったりすることもしばしばあります。

これは書いてもらったマジカ!などを大量に見ていく中で傾向として感じてきたことなのですけど、すごく乱暴に例えると、稼いでるのは父ちゃんだ! などと言いつつも、でも実際に家庭が上手く回っているのはお母ちゃんの采配・切り盛りだったりするのに似ています。

この記事では「集団と個人の関係から普遍的な法則を求める分析に応用し、中小企業の行動戦略などに役立てられることが期待される」とのことなので、今後の成果に期待したいです。

プロセス指向は正しいのか

業務フローに関わっていると、業務フローは大切なものだと思ってますから業務フローを中心に考えましょうということになります。業務フローが図示してるのはプロセス(過程)ですから、つまりはプロセス指向で物事を考えましょうということになります。ですが実際問題として、本当にそれが正しいことなのか。いかにももっともらしいのですけど、本当か? と。

前回「パス回し」ということを書きました。例えばサッカーの試合などをテレビで見てると、素人目には「何でそこでわざわざ後ろに戻すねん!」などと突っ込みたくなるときがあります。プロの試合でもあるのですから、これが小学生同士などとなると、そりゃもう言いたい放題です。

外から客観的に見ると、無駄なパスを回してるように見えることがあります。ですが現場の当人からすると、わざと無駄なことをしようとしてるわけではなく、やむにやまれず・必要に迫られて、というのが実態でしょう。業務フローにおいても、何でこんなところでこんな矢印があるのかと思っても、事情を聴くと「あーそりゃ仕方ないわな」ということが殆どです。人はわざわざ自分の仕事を劣悪にするほど仕事熱心ではありませんw

ですが実際には以前に書いたような滞留も含めて諸問題が生じています。それをどうすれば解決するのかというときに、プロセス=業務フローばかり見ていても駄目な気がするのです。では、何を見ればいいのか。それはゴールです。

子供向けのサッカーで、コーチが子供たちに「サッカーで一番大切なのは何か?」という話をしてるのを見たことがあります。「それはシュートを打つことだ」と。シュートが打てないなら、打てるようにするためにパスやドリブルをする。でも全てはシュートするためだ、と言うのです。これは単純になるほどなぁと感じました。いくらパスやドリブルが上手で90分間ボールを巧みに操っても、1本もシュートしなければ確かに意味がありません。

実際の業務においても、一発でケリがつくならそのほうがいいのです。ですがそう上手くは行かないからパスを回すことになる。そのときに「何がゴールなのか」ということを知らずに、いくら効率よくパスをさばいても効果的な流れにはなり辛いのでしょう。

フローって何だ? 実はパス回しだ。んじゃそもそもパス回しって必要なのか? いや、ゴールを決められるならそれでいいんだよね。じゃあゴールって何だ? …というわけで、プロセス指向ではなくてゴール指向であるべきだ、とした上で、でもサッカーなどと違って、業務におけるゴールって何なのかというところに、焦点を当ててみる必要があるように感じるのです。

この話、更に続く。。。

業務フローは果たしてフローなのか

前回、業務フローの本質は「流れの構造」だと書きました。ただ、本当に「流れ」なのだろうか、というのが実は割と本気で疑問だったりしています。というのは、以前に「シゴトのおきて」ということも書きましたが、要するに「Aさんからxxという依頼があったら、これをする」「これをし終わったら、Bさんに確認の依頼をする」というような掟=ルールの集合を個々人がこなしていくのを後追いすれば、それが結果として一筋の流れになっている=フローがあるように見えるだけではないのか、と。

これは、フローというレールがあってその上に乗っかってるのではなくて、色んなやり取りの軌跡がフローになってる、つまり、フローがある、ではなくて、フローになる、なのではないか、と感じたりするのです。これが以前にも書いた「業務フローは獣道である」という話になります。

実際問題として、実に様々な表記法が存在しますが、全てのケースを書ききれるものが実は存在しません。マジカ!の場合は割り切っていて、「こちらへカード」という、コンピュータのプログラミング言語においてはGoToに該当する、要するにジャンプさせることで、色んなケースについて別出しして記述する方針を採用しています。

ホワイトカラーのルーティンワークは実は結構アドホックだ、というのは、このやり取りが実に臨機応変に切り替わるからで、ワークフローのメタファの元となっている工場のベルトコンベアや、あるいは鉄道のレールなどと比較すると、まったくもって規定されてないかのような動きをします。これは正にサッカーなどのチーム球技におけるパス回しのようです。そして実際には、バックパスに該当するケースが非常に多かったりします。

前回、業務フローとはメッセージパッシングだということも書きました。そう、パッシング、パスをするということです。メッセージをパスする、パスするというのはやり取りをするということです。メッセージをやり取りする。ここでいうメッセージとは「意図」と読み替えていただいて良いかと思います。

この「パスを回す」ということを考えると、回し方のルールの集合だと思えば網羅的に表現は可能です。但しそれは図表現では難しい気がしています。ITに落としこむことを考えると、一般的なルールエンジンにおけるルール記述のほうが適していると感じます。それでも尚、俯瞰的な図表現にこだわるなら、実はそれはネットワーク表現になるように感じるのです。つまり個々人の間のやり取りということになります。

というわけで、もう少しこの話続きます。

メッセージパッシングと業務フロー

業務フローが欲しいと思うのは、複数の人が相互に関わりあう場合です。個人だけに閉じていれば、タスク管理とスケジュール管理の範疇で収まってしまうことが大半だからです。だから個々人にとっては業務フローを作成する有難味が見え辛いという話から、滞留とそれを解消するための順位付けをする道具としての業務フローという話をしてきました。

それはそれとして残件を残しつつも一区切りついた(ことにしたw)ので、ちょっと違う切り口で別件のペンディング分にも踏み込みたいと思います。個人ではなくてやはり俯瞰的に全体を見たときに、業務フローの本質って何なのか。逆に言うとタスク管理やスケジュール管理の範疇を超えるのはどういうものか。それは実は「やり取り」であり、格好良く言うとメッセージパッシングを表現するということなのだろうと考えています。

業務には機能と構造があり、業務フローとは構造を表すのだということを以前に書きました。

 構造としての業務フロー - 業務フローがスラスラ書ける魔法のカード「マジカ!」
 http://magica.hatenablog.com/entry/2011/11/17/010356

んじゃ機能に該当するのは何かというと、それが個人レベルでのタスク管理なのだと言えます。その個人レベルの機能を脇に置くと、業務フローの本質は「流れの構造」であり、ここでいう流れとは「やり取り」なわけです。

ということは、機能の話を別出しにしてしまうなら、業務フローで表現するのは「やり取り」だけで良いという気もしてきます。コラボレーション図やシーケンス図のようなイメージでしょうか。

この「やり取り」ということについて、しばらく続けてみたいと思います。

業務フロー間の優先度と個人

前回の話を受けての続きとなります。前回というのは、これです。

 プロセス間の優先度付け - 業務フローがスラスラ書ける魔法のカード「マジカ!」
 http://magica.hatenablog.com/entry/2012/01/05/030736

前回の例では、Aさんが3つの依頼
 ・Bさん:提案書送付
 ・Cさん:旅費仮払い
 ・Dさん:請求金額確認、
を同時に受けて、さぁどれからやればいいのだろうか? という話を踏まえて、個別のプロセスが幾ら整理整頓されてても、複数のプロセス間の関連性が整理されて無ければ、同時にかち合ったときに困ってしまう。それを解消するには、各プロセスの優先度が設定されてないと駄目だという話になりました。

では、果たしてプロセスの優先度をつけることが出来るのか。身も蓋もない言い方をすると、ぶっちゃけプロセス間の順位なんて決められないと思うんです。でも、そうすると、個々人の裁量に任せるといえば聞こえはいいですけど成り行き任せですよね。

実はこれが、個人と業務フローの関係を考えたときに、個人にとって業務フローを作成することの意義だと思うのです。…って唐突な感じですね(^^; えっと、この話からの続きになります。

 個人と業務フロー - 業務フローがスラスラ書ける魔法のカード「マジカ!」
 http://magica.hatenablog.com/entry/2011/11/21/154905

色んな仕事をする上で、やるべきタイミングも締め切りも重なってしまうことがある。でも一人がやれることは同時にはひとつでしかない。自ずから順位を決めて何かを優先することになる。何かを優先するということは、逆に言うと何かを先送りすることに他ならないわけです。ではその順位付けを放置するとどうなるか。毎回悩むことになって、結果として滞留になるわけですね。

なので、迷わないように事前に仕事を整理して、重なったときの順位付けをしておく必要がある。ここ重要なのでもう一度書きます。

・仕事が重なったときに迷わないように、順位付けをする必要がある。
・順位付けをするためには、そもそもどんな仕事があるのかを整理する必要がある

この二点を実現するためには何をすればいいのか。そうです。業務フローを書くということが必要になるのです。逆に言うと、順位付けをしないようでは恐らく個々人のレベルでは、業務フローの有難味を実感することは恐らく無いはずです。ですから仮に業務フローを書いてプロセス改善が実現されたとしても、個々人の日常においては実感が伴うことは少ないでしょう。

というわけで、長々と続けてきたこの話題もここで一区切りとなった気がします。業務フローを書いて各プロセスの順位付けをすると、個々人のレベルでいいことがあるんですよ、と。具体的には、重なったときにどれを先送りしてもいいのかということをみんなで明確に決めることが出来ますよ、ということですね。

とはいえ、じゃあ具体的にどうやって順位付けをすればいいのか、順位付けをしたとして、それを日常的な仕事の中でどう活かすのがというテーマが出てくるわけですが、それはまた別のお話として改めて考えてみたいと思います。そうそう、重ならないのに滞留してるというのは、それはサボってるというのが暗黙の前提ではありますね。そのあたりも考える必要があるかと思います。

そんなこんなと未決の話はありますが、まずはここで一区切りということで。

プロセス間の優先度付け

年が明けて2012年を迎えました。皆様いかがお過ごしでしょうか。
本年もよろしくお願いいたします。

…さて、前回は滞留の原因として、同じ人に複数の仕事が重なったときにどうしても先送りしてしまう仕事が発生してしまい、それが業務フロー上の滞留となってしまうという話を書きました。カタカナで書くと、リソース(この場合は人)のデッドロックが生じるわけです。

では、そのデッドロックをどう解消すればいいのかということになるのですが、実はこの論点でビジネスプロセスあるいは業務フローが論じられることは殆どありません。どれくらい無いかというと、例えば2つの業務フローを書いたとして、その両方にAさんという人(リソースですね)が登場するとき、2つの業務フローの重要度あるいは優先度は、どちらが上か下かということを書くことがありますか? ということでわかります。まずもってそのような例を見かけません。

つまり、業務フローなりビジネスプロセスなり、どちらでもいいのですけど、それらは結局いつも単独で検討されていて、複数の業務フロー同士の重なりあい・関わり合いというものを考慮されてはいないのですね。

しかし現実には重なることが頻繁にあります。わかりやすいのは、女性が受け持つことが多い事務職です。仮に彼女をAさんとして、営業事務を受け持っているとします。今は16時過ぎとしましょう。営業のBさんが「この提案書をコピーしてxx社の某さんに郵送しておいて」と依頼します。その直後に今度は別の営業のCさんが「明日さ、急に札幌のお客さんのところに行くことになっちゃったんで、交通費の仮払いお願い!」と申請書を持ってきます。そこに更に別のDさんが「今、お客さんから電話が入って、先月末の請求書の金額が違うんじゃないのって言われたんで至急確認してよ」と駆け込んできました。

さて、自分がAさんだとして、この3つの依頼、Bさん:提案書送付・Cさん:旅費仮払い・Dさん:請求金額確認、どれを最優先するでしょうか。結構難しいんじゃないでしょうか。あれこれてんてこ舞いしてるうちに、それぞれが「さっきの件どうなった? え? まだなの?」なんて言ってきたりしたら、「私はあんただけの彼女じゃない!」と切れられても仕方ない気がします。でも依頼した側からすると、他の依頼があることがわかりませんしとにかく自分の関わってる分にさっさとケリを付けて欲しいとしか思ってません(それは自然なことです)から、Aさんの困りごとには気づかなかったりします。

この場合はいずれも緊急度が高いように感じられるのでAさんも何とか定時までにこなそうと思うのでしょうけど、強いて言えばBさんの提案書のコピーをして郵送というのは、翌日でも大丈夫かな、と先送りされそうな気がします。これも一種の締め切り効果ですね。でもそれを咎めるのもどうかという気がします。

このようなケースが非常に多いのが実態で、これを解消する取り組みが無ければ、幾ら業務フローを個別に綺麗にしても実は部分最適化でしかないのです。というよりも、全体最適化なんてそもそも可能なのか、という気がしてきます。

というわけで、個別のプロセスの最適化もさることながら、それ以上にプロセス間の優先度・重要度の定義・設定をしないことにはどうしようもないんじゃないの? という問題提起になってきます。この話まだまだ続く、、、と思う。きっと。多分w