おしごとデザイン研究所

仕事の設計書がスラスラ書ける魔法のカード「マジカ」のダウンロードは"マジカランド"で検索!

もしもの世界

業務フローは、シゴトのおきて=ルールの集まりを遂行した結果、振り返ってみるとそこにある一筋の痕跡であると、以前に書きました。では、その元となるルールとは何ぞやというと、未来に対する期待・願望・指針であり、その形式は条件とやることのふたつからなっているとも書きました。

では、条件とはどういうものなのか。条件は、ときにイベント(出来事)とも言うことができます。例としては

「請求書の日付が間違っていたら」
「得意先から注文書のFAXが届いたら」
「トイレットペーパーが無くなったら」

のようなものが挙げられます。このような条件・イベントがあったら、それに紐付く「やること」を実際に行うことになるわけです。逆に言うと、これらの条件・イベントが一切起こらなかったらどうなるのか。各条件に紐づいている「やること」を行うこともないということになります。

これらの条件というのは、形を変えると「もしも~だったら」というような、昔のコントのタイトル形式に言い換えることも出来ます。「もしも」というのは仮定の話ということでもあります。ですから起こりうる未来について想定しておくということになります。思いつかない条件・イベントが発生したら、それがいわゆる「想定外」というものになるのです。

さて、「もしも」とは別に、同じく条件・イベントとして次のようなものもあります。

「食事の前に」→「手を洗う」
「毎週月曜日の17時になったら」→「在庫の確認をする」

みたいなものです。決まったタイミングを示すものです。これもまたルールにおける条件となります。これは決まりきったものとして、正にルーティンワークの代表例のように挙げられるものです。想定されちゃってるからですね。これはルールを守る側もわかりやすいと思います。

では仮に、食事をしないなら手を洗わなくてもいいのだろうか? などと考えるとどうでしょうか。あるいは突発的なトラブルのために、予定していた食事が無くなってしまったとしたら。それでもやはり手は洗ったほうがいいよね、ということになるかもしれませんし、あるいは条件に紐づいてるのですからやはり「別にやらなくてもいいよね」となるのかもしれません。これが在庫の確認をするということであれば、尚更でしょう。

そうすると、条件に関係なくやるべきことというのもあるのではないか、「もしも条件を満たさなかったら」という条件を考えることも必要ではないか。

ルールというのは決めるのは簡単なのですけど、それを遵守して実行するのは大変です。ですから出来るだけシンプルで数が少ないほうが有効に作用すると感じます。となると、条件について考えることは、数を増やさない工夫として結構大切な事ではないかと思ったりもしています。

ルールの形

仕事って何だろうか? マジカ!のバックボーンとしては、次のような構造になっていると考えています。


 仕事=活動と成果


まず、何らかの成果を達成するために行うのが仕事だと考えます。その上で、では何もしなくても勝手に成果が達成できるのかというと、残念ながらそんな都合の良い話は無くて、何かをしないといけません。それをここでは活動と呼んでます。作業とか手順と言い換えても良いかもしれません。

実は、このふたつに加えて「成果としてクリアすべき基準」、言い換えるとチェックリストと呼ぶようなものが必要だと思っています。そうすると、さらに正確には次のようになるでしょう。


 仕事=活動と成果と基準


成果を達成するためには基準をクリアしなければならず、そのために必要な活動を行うことになります。これをマジカ!に当てはめると、「はたらくカード」「成果カード」「チェックカード」になります。

活動が単純ならこれをまとめれば、それで十分に仕事を円滑にする手立てになるのですけど、現実の仕事というのはややこしいことがいっぱいです。だから色々とルールが必要になります。ルールがあれば何をしたらいいのか迷わずに済むからです。

では、そのルールとは具体的にはどういうものか。ルールはふたつの要素で成り立っています。

・条件
・やること

です。例えば「請求書の日付が間違っている場合は、訂正印を押して正しい日付に書きなおす」というルールがあるとすると、前段の「請求書の日付が間違っている場合」というのが条件で、後段の「訂正印を押して正しい日付に書きなおす」というのがやることになります。もっと厳密性を求めるなら、やることは「訂正印を押す」「正しい日付を書く」のふたつになります。

このふたつの要素のうち、条件をイベント(出来事)と呼ぶ場合もあります。ゲームちっくに表現するなら、


 「請求書の日付が間違っていた!」ピロピロリーン!
  どうする?

    請求書を破る
   →訂正印を押して正しい日付に書きなおす
    上司に確認する
    逃げる


みたいな感じでしょうか。このときに間違ったアクションを選ぶと、評価が下がるわけですね。

さて、そこでもう少しこのゲームの例えを使って考えてみると、正しい選択肢を選んだとしても場合によっては、更に別のイベントが発生することもあります。例えば、


  プレイヤーは、訂正印を押して正しい日付に書きなおすを選んだ。
  しかし訂正印が無くなっていた。
  どうする?


みたいな場合です。このような偶発的なイベントごとが実際の仕事にはたくさん発生します。想定外というのは、そういうことです。事前に想定されていてアンチョコ(攻略本とか)を持っていれば、こういうときはこうすれば良い、というのがわかるわけです。これがルールとか掟というものです。それを明記したものが業務マニュアルだったりします。しかしそこに記載されていない場合には、臨機応変に対応するしかありません。

ただ、いずれにしてもこの、


  ルール=条件→やること


という構造そのものは変わりません。ですから先日も書きましたけど、ルールを洗い出すというのが、実はまず重要なのではないかと思っています。

シゴトのおきて

マルモのおきてという番組がありました。子を持つ親としては、最近の芦田愛菜ちゃんの過剰労働っぷりには痛々しいものを感じてしまうのですが、ドラマはとても面白かったです。

さて、そのマルモのおきて、家族をやっていくための決め事をノートに書いていくというのがお約束の展開となっています。これ、結構含蓄あるなぁと感じます。

このドラマでは、阿部サダヲ演ずる主人公が死んだ友人の子供達2人を引きとって、一緒に暮らすというものです。つまり本当の家族ではない。それが一緒に共同生活をするにあたって、円滑な関係を実現するために「おきて」を決めていくのです。

家族じゃない人同士が共同で何かを為すというのは、仕事においてはごく当たり前のことです。円滑に仕事を遂行して目標を達成するには、おきて、「掟」=ルールというものが有効だということにもつながると感じるのです。

先の記事で、業務フローとは実は「掟」の集まりを指針として仕事をした結果、振り返るとそこにある痕跡の道筋のことだと書きましたが、そのルールセットとは意外とドラマのような、ちょっとしたお約束というようなあたりからの取り組みで随分と良くなるんじゃないかという気もするのです。

では、そのお約束というか、おきてというのは具体的にはどういうものなのか。それはまた改めて考えてみたいと思います。

業務フローは獣道

業務フローあるいはビジネスプロセスなどと呼ばれるものは、矢印でつながっている図を見るためか、何となくレールのようなものがしっかりと存在していて、まるでその上を規則正しく物事が流れていくかのような印象を与えがちです。

しかし実際にはどうかというと、そのような整然さとはおよそ真逆なものであると言えます。およそ事前に想定されている通りには物事は進まないというのが、実際に仕事をしている当事者の実感ではないでしょうか。

実は業務フローというのは、レールのようなしっかりとしたものではなく、むしろ何もないところを何度も通っているうちに踏みしめられ出来ていく、いわば獣道のようなものだと感じるのです。

ルーティンワークというと単調でいつも安定的に変わり映えすることも無く、淡々と物事が進んでいくように思われますが、実際にはかなりアドホックなことが多く毎回臨機応変な対処を求められたりします。むしろ創造的・クリエイティブとされるようなことのほうが、よく見ると同じ作業の繰り返しだったりします。反復によってスキルが鍛えられるというのは、そういうことなのでしょう。

このルーティンワーク、アドホックだったりするので、昨日まで通れた獣道が今日は通れないなどということも度々です。ですから、結果から振り返ってみればそこには一本の道筋がありますから、それを業務フローだということは出来るのですが、やってみるまでは次回も全く同じであるとは言えないのです。

では、業務フローとは何なのか。いつも行き当たりばったりなのか。そうではありません。仕事には何らかの達成したい・すべきことがあります。それを実現するためのルール集、言い換えると「掟」の集まりであると言えます。

そして事が起こるまでは、それらの「掟」は実は単なる期待・願望・指針でしかなく、現実がルールで捌けないようなときには、アドホックに新しいルートあるいはルールが設定されて処理・業務・仕事が進んでいくことになります。それは二度と通らない道筋かもしれないし、同じ事象が再び起こればもう一度利用されるかもしれません。それを繰り返すうちに、正にルーティンとして定着する「かもしれない」ものだと言えます。

ですから、業務フローというものを考えるときに、いわゆる矢印でつながった道筋を考えるのではなく、その道筋になっていく元となってる「掟」即ちルールセットをまずは良く見るべきではないかと考えるのです。

歴史と反省と目標と

マジカ!が誕生したのは2004年の5月頃のことです。当初は、既存システムのリプレースのための現状分析のために生まれました。ですから純粋にシステム開発における上流工程のための道具として出発しました。

転機が訪れたのは、知人の奥様が偶然にご自身の家事を当時のマジカで書いたという話を聞いたことでした。その頃はお子さんがまだ小さくて育児に追われ精神的に随分と辛い時期だったそうなのですが、マジカでどんな家事をしてるのかを書いた結果、意外と空いてる時間もあるのだと気付いて気持ちが楽になったということを伺いました。思わぬ話に正直驚きました。

これを聞いてマジカの違う方面でのポテンシャルを初めて感じたことから、より汎用的なお仕事書き出しツールへと発展させることにしました。その結果、可愛らしいイラストがつくようになりました。そこからマジカ!は、より広範な利用用途に向けて適用を進めていきました。JSOX対応がブームとなったときには、幾つかの上場企業においてもご利用いただきましたし、ISO取得のためにマジカ!をお使い頂いたケースも聞いております。

しかし根本的なマジカ!のフィロソフィは、やはりシステム開発における上流工程での業務分析と新業務設計のためというところに向いていました。そのくせ、あれもこれも、になっていた、つまりフォーカスがしっかりと定まってなかったのです。それは今大いなる反省点だと痛感しています。

先の記事にて、個人の時代における業務フローということについて少し触れました。今という世情を鑑みるにつけ、今後のマジカ!が目指す目標をこれまでとは変えたいと思うようになりました。具体的には以下のようなものになります。

 

・チームプレイにおいて、個人ひとりひとりがお互いに…
 ・自信を持って「任せて」と言えるようになる
 ・安心して「任せるよ」と言えるようになる

・個人ひとりひとりが、自分の仕事に閉じこもらずに広い視野で業務の流れについて、考える力を身につけられる。

 

そのような力・スキルを持った個人の集まりになれば、きっとそのチーム・組織・企業はどんどん良くなっていくでしょう。あるいは、仮に個々人が評価されないとしても、自信を持って違う職場・会社・業界・世界へと転じる裏付けになれるのではないかと思うのです。

組織の観点・都合から効率化のために分解的に業務フローの構成パーツとして個人を考えるのではなく、共通のゴールを達成するためにプレイヤーのひとりひとりがより効果的なプレイをするための共通認識を得るための業務フローを考える。そのための手軽で便利な道具として、マジカ!を育て鍛えていきたい。表向きのマジカ!自体はこれまでと変わらなくても、目指すもの・達成したいことが変わったので、これから徐々にその影響が現れてくるかと思います。

個人の仕事力アップにフォーカスして、今後のマジカ!は工夫を重ねていきたいと、そう考えています。

ソーシャルの時代と業務フロー

別のブログに個人の時代というのを書きました。そちらに書いたように、これからの時代はより個人というものが問われる時代になるのだと考えています。主旨としては、


1.ソーシャルネットワークはより一層の影響力を得る。
2.その結果、既存の組織やコミュニティは破壊される。
3.そのため、個人が剥き出しになり繋ぎ直されていく。
4.よって、個人がより一層の自立・自信を持つ必要がある。

…というものです。つまり、ソーシャル時代とは個人の時代でもあるのではないかと、そう思えるのです。

では、そんな個人の時代において、マジカ!が対象としている業務フローとはどういう意味を持つようになるのか。組織的な動きである業務フローを書くことが、個人にどんな良いことをもたらすのか。実のところ、私自身が今は確たる答えを持っているわけではなく、色々と模索しているところです。

マジカ!は元々、現場で実際に業務されている本人が書くこと、そしてそれを集めて幾つかの仕掛けを通じてつないでいくことで、全体のリアルな業務フローを作り上げていく、言わば個人レベルからのボトムアップ手法として生まれています。ですから、個人という観点で見れば、手前味噌ですが正にこれからの時代をほんの少しですが先取りしているのかもしれません。

そんな模索している思考の断片などもここに書いていきながら、それぞれの個人ひとりひとりが自信を持てる仕事を実現していけるような仕組みを実現して、お届けしていきたいと思ってます。

所信表明みたいですけど、そんな感じで迷いながらも連々と書いていきますので、よろしくお願い致します。

新しいブログはじめます

マジカ!は、マジカランド(http://www.magicaland.org/)にて株式会社マジカジャパンが提供している、業務フローをスラスラ書くためのツールです。このマジカ!にまつわる色々な情報をここで提供していきたいと思います。